期待できるはたらき
以下のような肝臓障害時における肝臓保護
- アルコール性肝障害
- 肝硬変
- 急性A型及びB型ウイルス性肝炎
- 薬剤性肝障害
マリアアザミの有効成分シリマリンは、肝細胞の再生を促して肝臓を保護し、肝機能を改善するはたらきがあります。これにより、アルコール性肝障害や肝硬変、ウイルス性肝炎、薬剤性肝障害の予防と改善効果が期待できます。 43名のアルコール性肝障害患者を対象に、420mgのマリアアザミを1~2カ月間投与した臨床試験では、GOTやGPTといった肝障害の指標の改善、食欲不振などの自覚症状の改善が認められました。
その他、期待できるはたらき
- 胃粘膜損傷抑制作用 など
摂取について
サプリメントなどから摂取できます。(マリアアザミは英名のMilk thistle ミルク・シスルと呼ばれる場合もあります)有用成分のシリマリンに換算して1日あたり200~400mgが摂取目安量とされています。短期間では効果が期待できないので、継続して利用するのが望ましいです。
その他、注目のはたらき
近年の研究では、マリアアザミの主成分であるシリマリンにより、放射線療法に伴う粘膜炎のリスク低下作用も示されています。具体的には、頭頚部がん患者27名に対する放射線療法に伴う副作用としての粘膜炎に対し、1日あたり420mgのシリマリンまたは偽薬が、放射線療法の第1日目から6週間投与され、口内炎/口腔粘膜炎の発症率が調べられています。解析の結果、6週間後の時点で、シリマリン投与群では、口腔内膜炎のスコアが有意に低値でした。放射線療法の実施期間中には、両群とも口腔内膜炎のスコアが上昇しましたが、シリマリン投与群では、口腔内膜炎の発症や進展の遅延が見出されたということです。以上のデータから、頭頚部がんに対する放射線療法施行時に生じる口腔内膜炎の予防に対して、シリマリン投与の有用性が示唆されます。

- 医学博士 蒲原聖可ブログ/
- http://www.dhcblog.com/kamohara/
米国ロックフェラー大学、東京医科大学を経て現在、健康科学大学教授。日本薬科大学客員教授。昭和大学兼任講師。DHC研究顧問。日本統合医療学会理事、国際個別化医療学会理事。主な著書は『ヘルシーエイジングに役立つサプリメント・健康食品』(医学と看護社)、『サプリメント事典 第3版』(平凡社)『必携サプリメント・健康食品ハンドブック』(新興医学出版社)他多数。