期待できるはたらき
高血圧の予防・改善
高血圧症の患者59名にコエンザイムQ10を投与した研究では、収縮期血圧と拡張期血圧の両方で低下(改善)が報告されています。
心臓疾患の予防
活性酸素などのフリーラジカルによる酸化を抑えたり、エネルギー産生の増加をサポートして心筋細胞を保護します。このはたらきにより、狭心症や心筋梗塞、心不全などに対する予防効果が期待されています。
疲労回復
慢性疲労症候群患者80名を対象とした臨床研究では、コエンザイムQ10を200mg+NADHサプリメント20mgを投与群と、偽薬投与群の2群について8週間の介入試験が行われました。解析の結果、コエンザイムQ10+NADH投与群では、投与前に比べて、自転車エルゴメーター負荷時の最大心拍数が有意に低下、また、セルフ質問票による疲労感についても偽薬群に比べて有意な低下が認められました。
その他、期待できるはたらき
- 生活習慣病の予防
- 抗酸化作用
- 運動パフォーマンスの向上 など
摂取について
食材では牛肉、豚肉、レバーなどの肉類、いわしやさばなどの魚類、ほうれんそう、ブロッコリー、大豆、チーズなどに含まれます。しかし含有量が少なく、食事から十分な量を補うのは難しいため、サプリメントを利用するのが効率的です。サプリメントでは酸化型(包接体)と還元型があり、還元型のほうが体内でスムーズに利用されやすいと考えられますが、一般的に生活習慣病の予防やアンチエイジングには、酸化型の摂取で十分な効果が期待できます。一方、特定の疾患に対して用いる場合、あるいは、体内の生理機能が低下している高齢者の場合には、還元型の利用が推奨されています。
その他、注目のはたらき
近年の臨床研究では、ドライマウス改善作用も報告されています。具体的には、66名の患者を対象に、1日あたり100mgの還元型CoQ10(ユビキノール)、酸化型CoQ10(ユビキノン)、偽薬のいずれかを1カ月間投与した結果、ドライマウス関連指標の有意な改善が認められたということです。作用メカニズムとして、経口投与されたコエンザイムQ10が血流を介して唾液腺に移行し,分子レベルで唾液分泌能を改善すると推定されます。

- 医学博士 蒲原聖可ブログ/
- http://www.dhcblog.com/kamohara/
米国ロックフェラー大学、東京医科大学を経て現在、健康科学大学教授。日本薬科大学客員教授。昭和大学兼任講師。DHC研究顧問。日本統合医療学会理事、国際個別化医療学会理事。主な著書は『ヘルシーエイジングに役立つサプリメント・健康食品』(医学と看護社)、『サプリメント事典 第3版』(平凡社)『必携サプリメント・健康食品ハンドブック』(新興医学出版社)他多数。