期待できるはたらき
血管拡張作用・動脈硬化抑制
シトルリンは、一酸化窒素(NO)が作り出されるのを促すはたらきがあります。一酸化窒素は、血管の平滑筋を弛緩させることにより、血管を拡張させ、血液の流れを改善します。またNOの産生を促すことは、血管をしなやかに保ち、動脈硬化の抑制にもつながります。
抗酸化作用
増えすぎると病気や老化の原因となる体内の活性酸素を除去するはたらきがあり、生活習慣病予防対策にも用いられています。
抗疲労・強壮作用
NO産生を介して、疲労の軽減や回復、強壮作用が期待できます。疲労感を訴える男性18名を対象に、1日あたり6gのシトルリン/リンゴ酸サプリメントを15日間経口投与した臨床試験では、疲労感の軽減、運動時のATP(アデノシン三リン酸。筋肉中のエネルギー源)産生の亢進、ホスホクレアチン(筋肉中のエネルギー源)回復の促進といった効果が認められました。
その他、期待できるはたらき
- 血中アルギニン値の増加 など
摂取について
スイカのほか、メロンや冬瓜、キュウリ、苦瓜(ゴーヤ)など、ウリ科の植物に比較的多く含まれています。決まった摂取量はありませんが、サプリメントの場合、日本では1日あたり800mg程度が一般的に用いられています。短期間では効果が期待できないので、継続して利用するのが望ましいです。
その他注目のはたらき
近年、シトルリン含有スイカ抽出物の投与による高血圧の改善効果を示した臨床研究も報告されています。具体的には、高血圧前症あるいはステージ1高血圧症患者の14名(男性3名、女性11名、平均年齢58歳)を対象に、スイカ抽出物サプリメント投与群(L-シトルリン/L-アルギニン 6g/日)、あるいは偽薬投与群に分けて、6週間の介入試験が行われ、足関節と上腕動脈における収縮期、拡張期、平均血圧、cAIx(頸動脈指数)、ABI(足関節・上腕血圧指数)、心拍数が測定されています。解析の結果、スイカ抽出物サプリメント投与群では、偽薬群に比べて、介入後に、足関節と上腕動脈の収縮期血圧、拡張期血圧、平均血圧はそれぞれ有意に低下し、cAIxも有意な低下を認めました。以上のデータから、L-シトルリン含有スイカ抽出部投与による高血圧前症や軽症高血圧症の改善作用が示唆されます。

- 医学博士 蒲原聖可ブログ/
- http://www.dhcblog.com/kamohara/
米国ロックフェラー大学、東京医科大学を経て現在、健康科学大学教授。日本薬科大学客員教授。昭和大学兼任講師。DHC研究顧問。日本統合医療学会理事、国際個別化医療学会理事。主な著書は『ヘルシーエイジングに役立つサプリメント・健康食品』(医学と看護社)、『サプリメント事典 第3版』(平凡社)『必携サプリメント・健康食品ハンドブック』(新興医学出版社)他多数。