期待できるはたらき
体脂肪燃焼の促進
運動時に摂取することで、体脂肪がエネルギー源として効率よく利用されるのを促し、体内の脂肪の減少に役立ちます。
心臓のはたらきをサポートする
機能が低下しつつある心筋ではカルニチン量が低いため、カルニチン補給による有効性が期待されています。慢性心不全、狭心症、心筋梗塞の患者を対象とした臨床試験において、カルニチンがこれらの病態を改善することが示されてきました。例えば、74名の狭心症患者にカルニチンを6週間投与した臨床試験では、心電図所見と運動能の改善が認められ、また50名の心不全患者を対象にした臨床試験では、心機能に関する指標の改善が認められました。
その他、期待できるはたらき
- 疲労回復
- 運動能力向上作用 など
摂取について
ヒトの体内で合成されるアミノ酸の一種ですが、加齢とともにその合成力は低下。20歳頃から減り始め、80歳では極めて低いレベルにまで落ち込むとの報告もあります。食品ではラム肉や牛肉、牛乳などに豊富に含まれているため、動物性食品の摂取が不足するとカルニチンの摂取量も少なくなります。その場合はサプリメントを利用すると効率的な補給ができます。体脂肪の減少を目的とする場合は、運動前の摂取が望ましいとされています。
その他、注目のはたらき
近年の臨床研究において、心血管疾患(冠状動脈疾患)における脂質代謝改善作用も報告されています。具体的には、心臓カテーテル検査にて、50%以上の狭窄病変を主要な冠状動脈の1カ所に有する心血管疾患患者47名を対象に、偽薬投与群24名、L-カルニチン投与群23名の2群について12週間の介入が行われ、血中のL-カルニチン値、脂質代謝指標、抗酸化関連酵素活性(SOD)を測定。解析の結果、1日あたり1,000mgのL-カルニチンサプリメントの投与により、SOD活性HDLコレステロール値とApo-A1値の有意な増加、TGの減少傾向が見出され、脂質代謝改善作用が示唆されます。今後、L-カルニチンサプリメントによる冠状動脈疾患の二次予防効果などの検証が期待されます。

- 医学博士 蒲原聖可ブログ/
- http://www.dhcblog.com/kamohara/
米国ロックフェラー大学、東京医科大学を経て現在、健康科学大学教授。日本薬科大学客員教授。昭和大学兼任講師。DHC研究顧問。日本統合医療学会理事、国際個別化医療学会理事。主な著書は『ヘルシーエイジングに役立つサプリメント・健康食品』(医学と看護社)、『サプリメント事典 第3版』(平凡社)『必携サプリメント・健康食品ハンドブック』(新興医学出版社)他多数。